海洋プラスチック問題とアパレル廃棄問題に通じる大量消費の是正

沖縄の美しい海を守る活動を続けてきた私たちにとって、海洋プラスチックごみの問題は見て見ぬふりのできない現実です。漂着するごみの中には、化学繊維から出るマイクロプラスチックも含まれています。一方、アパレル業界に目を向けると、大量生産・大量廃棄による環境負荷が世界的な課題となっています。海を守ることと、衣服を大切にすることは、実は「資源の浪費を食い止める」という一点で深く繋がっています。ここでは、レンタルやリユースという選択が、どのように環境問題の解決に貢献できるのか、その構造的な意義を解説します。
使い捨て文化からの脱却と循環型社会(サーキュラーエコノミー)
従来の経済は「作って、使って、捨てる」という一方通行のリニア(直線)型でした。しかし、資源の枯渇や廃棄物処理の限界が見えている今、私たちは資源を循環させるサーキュラー(循環)型経済へと移行しなければなりません。ダイビング機材や衣服を、一人の所有物として終わらせるのではなく、メンテナンスを施しながら複数の人で共有し、製品寿命が尽きるまで使い切る。このレンタルの仕組みこそが、サーキュラーエコノミーの具現化です。一つの製品を徹底的に活用することは、新たな資源採掘や製造エネルギーの削減に直結します。
ひとつの製品を長く何度も活用することによるCO2削減効果
衣服を一着製造するためには、大量の水とエネルギーが必要であり、その過程で多くのCO2が排出されます。環境省のデータによれば、服一着を生産するのに排出されるCO2は約25.5kgにもなると言われています。もし、私たちが服を買わずにレンタルを利用し、一着の服が廃棄されるまでの着用回数を2倍に増やすことができれば、単純計算で製造に伴う環境負荷を半減させる効果が期待できます。シェアリングは、我慢して消費を減らすのではなく、賢く利用することで環境負荷を下げる、極めてポジティブな解決策です。
沖縄の海を守る活動とファッションロスを減らす活動の共通項
私たちが実施してきたビーチクリーン活動で拾われるごみは、人間の経済活動の最終結果です。一方、アパレル業界で売れ残り廃棄される「衣類ロス」もまた、行き場のない資源の姿です。根底にあるのは「過剰な生産と消費」です。沖縄の海でサンゴを守るために機材を大切に使うダイバーの精神は、ファッションロスを減らすために服を大切に着回すユーザーの精神と共鳴します。ジャンルは違えど、地球という限られたフィールドで持続可能な活動を目指す同志なのです。
エシカルな消費行動としてのレンタルサービスの活用

「エシカル(倫理的)消費」という言葉が広まりつつありますが、具体的に何をすれば良いのか分からないという声も聞かれます。その最も手軽で効果的な実践の一つが、レンタルサービスの利用です。環境や社会に配慮したサービスを選ぶことは、企業への応援投票となり、社会を変える力になります。
環境負荷の低いクリーニングシステムを採用する企業の取り組み
先進的なレンタル事業者は、環境への配慮を経営戦略の中心に据えています。例えば、生分解性が高く環境汚染の少ない洗剤の使用、排水浄化システムの導入、クリーニングハンガーや配送袋のリサイクルループの構築などです。私たちも機材メンテナンスにおいて、海に流しても安全な洗剤を推奨してきました。こうした「バックヤードのエコ」に投資しているサービスを選ぶことは、間接的に環境保全活動に参加していることと同義です。
購入ではなく利用を選択することが環境保護への投票になる
消費者が新品の購入を控え、レンタルやリユース市場を活性化させれば、メーカー側も「大量に作って安く売る」モデルから、「高品質で長持ちする製品を作って貸し出す」モデルへと転換を迫られます。消費者の行動変容が、産業構造を変えるのです。安易なファストファッションの購入を見直し、質の良い服をレンタルで楽しむという選択は、未来の環境を守るための意思表示であり、強力な「投票行動」なのです。
企業の社会的責任(CSR)としてのリユース事業の役割
企業にとっても、リユース・レンタル事業は単なる収益源ではなく、企業の社会的責任(CSR)を果たす重要な手段となっています。廃棄衣料を減らす取り組みや、メンテナンス技術者の雇用創出など、事業を通じて社会課題を解決することが求められています。安全対策協議会としても、こうした志を持つ事業者と連携し、安全かつ環境に優しいサービスの普及を支援していきたいと考えています。
地球環境と共存しながら楽しむ持続可能な消費文化の構築

環境を守るために、ファッションやレジャーを我慢する必要はありません。重要なのは、楽しみ方のスタイルを少しだけアップデートすることです。最後に、環境と共存しながら豊かさを享受する新しい文化について述べます。
未来の資源を守るための賢いユーザーの選択基準
これからの「賢い消費者」とは、コスパ(費用対効果)だけでなく、タイパ(時間対効果)やエコパ(環境対効果)を総合的に判断できる人です。「この服を買うことは環境にどう影響するか?」「レンタルで済ませることでどれだけ資源が節約できるか?」という視点を持つことが、クールで知的なライフスタイルとして定着しつつあります。自分の利益と地球の利益をリンクさせる思考法です。
環境への優しさと個人の利便性を両立させる仕組み
レンタルサービスは、環境に優しいだけでなく、利用者にとっても「安く着られる」「保管がいらない」という実利があります。この「利己」と「利他」が矛盾せず両立している点こそが、このシステムの最大の強みです。無理なく続けられる仕組みでなければ、文化としては定着しません。沖縄の海で自然と一体になる喜びを知る私たちだからこそ、都市生活においても自然と調和した心地よい消費のあり方を提案できると信じています。
