
沖縄の方言は難しいものが多いですが、初対面の相手との距離感を縮めてくれるのも沖縄方言の魅力です。そこで移住者でも使いやすく、知っておくと何かと便利な沖縄方言を紹介します。
「○○ねぇ~」
使い方の特徴
語尾に「ねぇ~」をつける
方言の特徴
使うだけで敬語的なニュアンスになる
解説
語尾に「ね」をつけるだけですが、わざと語尾を伸ばすことによって沖縄県民の間では敬語として解釈されます。また語尾の強弱によって相手に同意を求める言葉にもなります。
使用例
- 「このお皿下げましょうねぇ~」(こちらの食器を下げますね)
- 「ウートートーするからひざまづきしましょうねぇ~」(ご先祖様に手を合わせるから正座をしますよ!)
- 「先に休憩に行きましょうねぇ~」(お先に休憩とらせていただきます)
沖縄方言ではあえて語尾を伸ばすことで敬語や提案の意味になるのですが、この表現は本土では一切通用しません。実家に帰った時や地元の友人との会話でうっかり「○○しましょうねぇ~」というと「なんだこいつ?!」となるので、帰省する時には十分に気を付けましょう。
「○○さぁ~」
使い方の特徴
語尾に「さぁ~」をつける
方言の特徴
言葉の印象がソフトになる
解説
語尾に「さ」をつけるだけなのですが、わざと語尾を伸ばすところに特徴があります。延ばさずに「○○さ!」といってしまうと断定的になってしまいますが、語尾を伸ばすだけでニュアンスが柔らかくなるので年齢問わずよく使う沖縄方言です。
使用例
- 「かわいいさぁ~」(いいね、かわいいよ!)
- 「だからさぁ~」(ほんとにね!)
- 「意味ないさぁ~!」(無意味じゃん!)
同じような使い方として「○○よー」があります。こちらも使い方のバリエーションは豊富ですが、やや男性的な印象を持ちます。さらに前後の会話や言葉の強さによっては断定的な印象にも聞こえるので、初心者のあいだは無難な「○○さぁ~」を使うことをおすすめします。
「ゆんたく」
使い方の特徴
「おしゃべり」のこと
方言の特徴
男女問わずよく使う言葉。覚えておくと何かと重宝する。
解説
沖縄県民には「なんくるない精神」が根付いています。「なんくるない」は「なんでもない」「何とかなる」と解釈されることが多いのですが、本来は「無理をしなくてもいずれあるべき姿に戻る」という意味になります。
ただし何もしなくてもあるべき姿に戻ることはありえないので、沖縄県民は何かにつけてゆんたく(おしゃべり)をし相手とのコミュニケーションをとります。特に相手のことをより深く知りたいと思った時は必ずゆんたくに誘いますので、難しい沖縄の方言を覚えるよりもこの言葉を覚えておく方が何倍も得をします。
使用例
- 「何しに来た?」「ゆんたくしに」(「何か用?」「いや、ただおしゃべりしに来ただけだよ」)
- 「ゆんたくしよ?」(ちょっとおしゃべりしない?)
- 「オバーとゆんたくしすぎた…」(おばあちゃんとおしゃべりしすぎた…)
沖縄の方言は、話すよりも聞き取る方が大変です。でも「ゆんたく」は地元の人とコミュニケーションをとる大事なチャンスです。特に相手の方から「ゆんたくしよ?」と言われるとのは、「あなたとお友達になりたい!あなたはどう?」といっているのと同じなのです。
だからどうしても都合が悪くて断らなければいけない時も、ちゃんとした理由を話し「また今度ゆんたくしましょうねぇ~」と伝えましょう。この表現であれば相手もあなたの都合をきちんと理解してくれますし、必ず近いうちに声をかけてくれるでしょう。
無理して使うより簡単な方言を正しく使うのが移住者の心得
沖縄移住者の中には本土出身者であるとは思えないほどバリバリのウチナーグチ(沖縄方言)を使いこなす人もいます。でもそういう人はほんの一部の移住者です。
今の時代、沖縄出身者であっても方言を使わない人・聞くことができない人はいます。特に若い世代では方言を使わない県出身者の方が多いですし、街中で「ハイサイ!」といって挨拶する人はほとんどいません。だから無理して沖縄の方言を使う必要は全くないのです。
どんなに難しい沖縄方言を知っていても沖縄で生まれ育った人にはかないませんし、イントネーションの違いもわからなければどんなに方言を使っても相手に伝わりません。
そんなことより簡単な方言でも意味を正しく理解する方がいいですし、話すよりも聞き取る方がコミュニケーションをとる上では重要です。「早く仲良くなりたい」と焦る気持ちはわかりますが、せっかく移住してきたのですから無理せず気長に沖縄方言と付き合うのがベストだと思いますよ。